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ほんのひとつの出来事がわれわれの視点を変えうる。芸術の面白さはここにある。

ほんのひとつの出来事がわれわれの視点を変えうる。芸術の面白さはここにある。_e0098202_14221016.jpgといったのは、中国の前衛アーティスト・アイウェイウェイさんです。僕はこの言葉にとても共感を覚えます。

僕はもっと洗練されていない言葉で異口同音にスタッフ達に伝えています。

「僕らは(本づくりを通じて)実はすごいことをしてるんだ。1冊の本に出会う事で、その人が少しラクになったり、幸せになったり、一歩前に進めたり、癒されたりすることができる。そんな人の人生にタッチできるということは、ちょっとスゴいことだと思う。だけど、手に取ってもらえなければ、そんなスゴいことに気づいてさえもらえない。その手伝いをデザインを通じて行うんだ。」と。

ほんのひとつの出来事がわれわれの視点を変えうる。芸術の面白さはここにある。_e0098202_14222356.jpgただし、僕らが行っているデザインは、誇りをもっていいますが、決してアートではありません。

ある意味では、デザインとアートとの境界はあいまいなのかも知れませんが、僕らは(少なくともタイプフェイスでは)デザインで自我を出したいのではありません。

僕らが何かをデザインする目的は有り体に言えば「売れること」をアシストすることなのです。

ですが、僕らは売れるための秘訣や秘密やメソッドなんてものは持ち合わせていません。
ほんのひとつの出来事がわれわれの視点を変えうる。芸術の面白さはここにある。_e0098202_14223349.jpg作り手の熱い想いをどうやったら、多くの人に届けるためにはどうしたらいいのか。

そればかりを全員が脳に汗をかいて考え続けるしか解法はないのだろうと思います。

そしてその解は、(書籍なら)1冊1冊異なるはずですし、オーダーメイドなのだろうと考えています。

多くの家が、その家庭の色を帯びていくように。
ほんのひとつの出来事がわれわれの視点を変えうる。芸術の面白さはここにある。_e0098202_14224728.jpg時にその解は当ることもありますし、外れることもあります。

当ったとしても、その次にはおそらくほとんどの場合、次には通用しないのです。

ですが、成功体験は人の創造性を蝕み、身動きがとれなくなっていくのです。
ほんのひとつの出来事がわれわれの視点を変えうる。芸術の面白さはここにある。_e0098202_14225626.jpgまず、過去を見据え、積み上げてきた歴史に敬意を払いつつ、「新しい未来」を提示していかなければならないのではないかと思います。

売り手の「都合」や「安心感」を詰め込んだものが、誰にも求められていないという現実を見ない振りしてものをつくり続けている。そんなことをしていては、当然見向きもされなくなることは自明なのだと思います。

ほんのひとつの出来事がわれわれの視点を変えうる。芸術の面白さはここにある。_e0098202_14231359.jpgこれを世の中に出せば、少し世の中が明るくなる、元気を出してもらえるetc.etc.そういう青臭くて熱い想いがなければ、出版なんてする必要はないのだと僕は思っています。

編集者の自我やデザイナーの自我、著者の自我をみたすだけのものであれば、自費出版でいいのだと少なくとも僕は思っています。

出版する事がゴールではなく、その先の読者を見据えた本づくりという原点に今こそ立ち返る時なのだと強く思うのです。

出版社だけではなく、著者・デザイナー・関係者各位が、初心に返って、「本づくりってカッコいいんだぜ!」と誇れる文化を次の世代につなげていければと思います。

ゴマブックスの民事再生の報に接して少しばかり思うところあり、真面目なトーンでお送りしました。ご気分悪くされた方もいらっしゃると思いますが、その際はお電話ください。サシで飲みましょう。

次からいつものC調でいきますよ!
by tami_hit | 2009-09-07 14:23


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